私の勤務先では「ノルマ」ではなく「目標」だった
私が勤めていた信用金庫では、正式名称は「ノルマ」ではなく「目標」でした。
ただし、達成できなかったときの上司からの追及は厳しく、私には実質的にノルマのように感じられました。
この記事では、正式名称としての「目標」と、私が実際に受けた感覚としての「実質ノルマ」を分けて書いていきます。
以下はすべて、私の勤務先や担当エリアでの体験です。信用金庫全体に当てはまるとは限りません。
渉外係3か月目の月末に、初めて強くつらいと感じた
私が初めて「目標がつらい」と強く感じたのは、渉外係になって約3か月後の月末でした。
上司へ営業報告をしたときのことです。
渉外係になってから、私は融資を1件も取れていませんでした。そのとき上司から、
「いつまでもお客様気分でいられると思うなよ」
「いつ数字とるんだ?」
「お前が取らなかったら、個人目標を達成している仲間が支店の数字のためにお前の分も数字を取らないといけない」
という趣旨の言葉を受けました。
実際にこのような言葉を受けたことは、はっきりと覚えています。
融資・投資信託・定期預金・保険・クレジットカードに個人目標があった
私の勤務先では、主に次の5項目に個人目標が設定されていました。
- 融資
- 投資信託
- 定期預金
- 保険
- クレジットカード
ほかにも細かい項目はありましたが、大きな柱はこの5つでした。
一番つらかったのは融資だった
このなかで、私が一番つらいと感じていたのは融資でした。
理由は一つではなく、いくつかの条件が重なっていたと感じています。
数字が取れない理由には、自分では変えにくい条件もあった
私が渉外係になる前、前任者はコロナ期の無利子融資を担当顧客にかなり実施していました。
そのため、私が引き継いだころには、既存顧客の融資需要が薄いと感じていました。
需要が完全になかったわけではなく、あくまで私の体感としてそう感じていた、ということです。
融資を依頼してくる企業のなかには、私の認識では融資が難しいと感じる先もありました。
一方で、私が貸し出したいと感じる先はむしろ資金に余力があり、「お金を返したい」という話になることもありました。
融資を依頼してくる会社がすべて難しい先だった、というわけではありません。
担当エリアも難しい条件の一つだったと感じています。
私の営業先は、他の金融機関の大きな支店のメイン営業エリアと重なっており、競争が強いと感じていました。
また、担当エリアは自分の支店から物理的にも遠い場所でした。
一番近い顧客でも原付で片道約20分かかり、顧客の要望によっては、雑用のために片道約1時間かかる事務所まで出向くこともありました。
同期との飲み会で、同期の支店は自分の信用金庫のメイン営業エリアであり、「自分が営業しなくても融資の依頼が来ることがある」という話を聞いたことがあります。
私はそのとき、営業エリアの違いでここまで差があるのかと感じました。
これはあくまで同期本人の発言と、それに対する私の受け止めであり、客観的な支店間の比較として断定できるものではありません。
私は、需要・営業エリア・物理的な距離という、自分では変えにくい条件が重なっていたと感じています。
それでも次第に「全部自分のせい」と思うようになった
当時の私は、こうした外部条件の影響もあると感じていました。
しかし、上司からは外部条件への配慮はなく、数字が取れない要因について、私の能力や人格に問題があるという趣旨の指摘を受け続けました。
その結果、私は徐々に、
「数字が取れないのは全部自分のせいだ」
と考えるようになっていきました。
これが当時の上司の評価が正しかったということを意味するわけではありませんし、上司が意図的に私を追い込もうとしていたかどうかも、私には分かりません。
営業方法にも改善余地があったと今は思う
一方で、当時からすべてを環境のせいにしていたわけではありません。
私は上司に営業方法を相談したことがあります。
しかし、「自分で考えろ」と言われたため、私は営業のやり方を具体的に教えてもらえなかったと感じています。
これは私が上司に相談したときの経験です。
その結果、私は訪問先で、
「融資の需要はありませんか?」
と直接的に聞くことを繰り返していました。
今振り返ると、工夫が足りなかった部分があり、数字が取れなかったのも当然だったと感じる部分があります。
今振り返ると、融資需要を直接聞くよりも、顧客の困りごとを聞き、その解決策を考えるなかで資金需要を見つけるやり方もあったのではないかと考えています。
これは私自身の振り返りであり、「課題解決型の営業が正解だ」と一般化するつもりはありません。
成績が見える環境と、同僚への負担が罪悪感につながった
私の勤務先では、個人ごとの成績表・一覧が融資係のエリアに大きく掲示されており、誰がどれだけ数字を上げているかを職員が一目で確認できる状態でした。
私の目標未達分については、上司や支店長が、すでに自分の個人目標を達成している同僚に対して、支店の数字のために私の分まで追加でやってほしい、という趣旨の依頼をしていました。
これは私の席からも聞こえる状況でした。
私はその様子を見聞きして、非常に心苦しく感じていました。
上司が意図的に私に聞こえるようにしていたかどうかは、私には分かりません。
その後、上司から、
「お前が数字を取れないから同僚が余分に数字をやらないといけない」
という趣旨の言葉を受けました。
私は、
- 個人目標を達成できない
- 支店の数字にも貢献できない
- 同僚に負担をかける
という罪悪感を強く持つようになりました。
「数字を取れない自分には価値がない」と感じるようになった
その結果、私は、
「数字を取れない自分には価値がないように感じる」
「自分は働いている意味があるのだろうか」
と思うようになっていきました。
さらに上司からは、
「数字を取ってこないのに給料が払われているなら、会社にとってお前はコストでしかない」
という趣旨の厳しい言葉を受けたこともあります。
体調や睡眠にまで影響が出た
数字が取れない状態が続くなかで、私には精神面・体調面の変化が出ていました。
平日の仕事中に下痢や腹痛が頻繁にあり、訪問先でトイレを借りることもありました。
夜は数字のことや上司から言われた言葉を繰り返し思い出し、寝つきにくいこともありました。
休日も仕事のことばかり考えてしまい、金曜日の夜も、休みが来る安堵感より、また月曜日が来る憂うつ感のほうが大きく感じられました。
目標や数字のことが頭から離れず、精神的にも体調的にも休まる時間が少なかったと感じています。
「ノルマが原因で病気になった」と断定するつもりはありません。
ただ、数字へのプレッシャーや上司とのやり取りが続くなかで、私にはこうした状態が続いていました。
目標達成より先に環境を見直していい
最終的に私が「環境を変えたほうがいい」と考える大きなきっかけになったのは、体調への影響が続いたことでした。
私は、
「仕事に慣れるのが先か、体調を崩して働くのが難しくなるのが先か」
を考えたとき、後者になる気がしました。
今、当時の自分に一番伝えたいのは、
「体調に影響が出ているなら、目標達成より先に環境を見直していい」
ということです。
これは「つらいなら絶対に辞めろ」という意味ではありません。
誰かに相談すること、異動を検討すること、休むこと、転職を検討することも、環境を見直すための選択肢の一つだと私は考えています。
数字だけでなく、自分が働き続けられる状態かも考える
数字が取れないつらさの背景には、営業エリアや需要といった自分では変えにくい条件と、営業方法など自分で見直せる部分の両方があると、私は今振り返って感じています。
ただし、体調面の不調まで続いているなら、まずは環境そのものを見直すことを考えてよいと思います。
「辞めたい」と感じ始めた段階の方は、[信用金庫を辞めたいと感じたら|私が辞める前に考えた選択肢]も参考にしてください。
転職という選択肢を具体的に考えたい方は、[信用金庫から転職したい人へ|転職を考えたときに整理したこと]もあわせて読んでみてください。
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