信用金庫から異業種へ転職できる?私がエンジニア転職で感じた活かせる経験と足りなかったもの

執筆者:

カテゴリ:

信用金庫から異業種へ転職して感じたこと

私は信用金庫からIT業界のエンジニア職へ転職しました。業界が変わったことも、職種が変わったことも、どちらも私にとっては大きな変化でした。企業文化も仕事の進め方も大きく違い、転職直後はそのギャップに苦労しました。

ただし、その苦労は「分からないことを一つずつ勉強して身につけていく」という性質のものであり、少しずつ対応できるようになっていったというのが私の実感です。信用金庫時代に感じていた負荷とは、性質が違うものだったと感じています。

今は、信用金庫で働いた期間よりエンジニアとして働いた期間の方が長くなりました。転職後に営業の仕事へ戻りたいと思ったことはありません。ただし、これは私個人の実感であり、「異業種転職は簡単だった」と言いたいわけではありません。

転職前は「前職経験は役立たない」と思っていた

転職活動をしていたころ、私は、信用金庫での経験はエンジニアの仕事にあまり役立たないだろうと思っていました。営業職への転職であれば一部活かせるかもしれないとは考えていましたが、畑違いのエンジニア職では期待していませんでした。

当時、採用されるかどうか以上に不安だったのは、転職後に仕事についていけるかどうかでした。プログラミングは少し勉強していましたが、十分理解できているという感覚はなく、この不安は転職活動中ずっと抱えていました。

実際に持っていけたと感じる経験

実際に働き始めてから、信用金庫時代の経験の中にも、転職後に活きたかもしれないと感じるものがいくつかありました。

一つは、確認を繰り返す習慣です。信用金庫時代、契約書類に記入漏れや押印漏れがあると顧客のもとへ再訪問する必要が生じるため、何度も確認する癖がついていました。エンジニアになってからも、成果物の漏れやコードの書き間違いがないかを繰り返し確認する習慣として活きたかもしれないと感じています。

もう一つは、相手の反応を見ながら言葉を選ぶという習慣です。信用金庫時代は、顧客や上司の反応を見ながら、どんな言葉なら受け入れてもらいやすいかを考えて話していました。転職後も、顧客や同僚にどう伝えるかを意識する場面で、この習慣に助けられたと感じています。

エンジニアとして働く中で、物事をストレートに話す同僚もいて、その違いから自分が「相手の立場や反応を考えて言葉を選ぶ」習慣を持っていたことに気づきました。ただし、これは私が働いた環境での一例であり、「エンジニアは皆ストレートに話す」ということを言いたいわけではありません。

転職後に新しく身につける必要があったこと

一方で、転職後に新しく身につける必要があったことも数多くありました。一番大きかったのは、自分が扱う業務システムそのものの理解です。これは転職前にどうにかできるものではなく、転職後に一から身につける必要がありました。

私が担当した保守業務では、まず現在どのような仕様になっているのかを理解し、そのうえで問題、理想の状態、現状とのギャップ、解決策を考える必要がありました。単にプログラミング言語の文法を知っているだけでは足りず、扱っているシステム固有の知識やこれまでの経緯を理解する必要があったというのが私の実感です。

1〜3年目の苦労と変化

1年目は保守業務を担当していました。プログラムがほとんど読めず、周囲の人たちの会話もあまり理解できず、この先やっていけるのかとずっと不安に感じていました。

2年目はほぼテスト業務を担当しました。プログラムや設計書を見ながら、仕様どおりに動くかを確認する仕事を続けていました。テスト中心の業務だったこともあり、プログラムを見て調べたり理解したりする時間的な余裕がありました。

3年目に保守業務へ戻ると、プログラムがなんとなく読めるようになっている自分に気づきました。その後、規模の大きな改修を一つやり切ったことが自信になり、「このままやっていけるかもしれない」と思えるようになっていきました。

これは私が経験した順番と実感であり、担当する業務の内容や環境によって、必要な時間や過程は人それぞれ違うと思います。

面接で、前職経験とエンジニア職をどうつないだか

面接では、信用金庫での経験がエンジニアの仕事にどうつながるのかを気にされていたという印象を持っています。信用金庫からITという異業界へ移り、営業系の仕事からエンジニアという異職種にも移ったため、前職での経験と転職先の仕事をどうつなげて考えているかを見られていたと感じています。

面接では、信用金庫時代に担当していた保育園での経験を話しました。コロナ禍で保護者向けの施設見学が難しくなっていた保育園に対して、施設内を動画で撮影し配信する案を提案したところ、保護者から反応があり、園長にも感謝されたという経験です。これはシステム開発によって解決した話ではありません。ただ、顧客の課題を見つけて解決策を提案した経験として、エンジニアという仕事でも同じように顧客の問題解決に関わりたいと説明しました。

面接官に評価されたと断定はできませんが、伝わった感触があったと私は感じています。転職後に働いてみての実感としては、顧客の問題は必ずしもシステム開発だけで解決するものではなく、運用方法の提案など別の形で解決することもあると感じています。

企業文化・働き方のギャップ

信用金庫時代は、出退勤カードに出退勤時刻を記入し、出勤時と退勤時に支店長・副支店長・役席のいずれかから印鑑を押してもらっていました。転職後は、出勤時にチャットツールへコメントを入力し、退勤時はシステムに時刻を入力するだけになりました。この違いには、当時かなり衝撃を受けたのを覚えています。

あくまで私が経験した二つの勤務先の違いです。

質問のしやすさというギャップ

転職後はリモートワークが多く、質問はチャット中心でした。リアルタイムで回答が返らず、作業の手が止まることはありました。一方で、質問すること自体は難しくないと感じていました。

信用金庫時代は、周囲が忙しそうに見えて質問しづらい雰囲気を感じていました。転職後はチャットのため相手の状況が直接見えず、相手のタイミングで返信してもらえることもあり、質問する心理的な負担は小さかったです。もちろん「忙しい中すみません」といった最低限の気遣いはしていました。一緒に働いた人たちが基本的に優しかったことも大きかったと思います。

これも、私が経験した職場での実感です。

「自分にはスキルがない」と感じる読者へ

異業種で働くうえで足りない専門スキルは、転職後に身につければよいものもあると私は考えています。未経験なのですから、そのスキルを今持っていなくて当然だと思います。

ただし、社会人として身につけてきたものが何もないとは限りません。自分ではスキルだと思っていない行動でも、言語化してみると強みとして説明できることがあります。たとえば私の場合、「顔色をうかがって言葉を選ぶ」という感覚を、「相手の立場や反応を考え、その場に応じた伝え方をする」という形で説明できることに、転職活動を通じて気づきました。

ただし、実際の行動やエピソードから説明できる範囲を超えて、実態以上に盛って伝えることはおすすめしません。自分では当たり前すぎて気づきにくい場合は、周囲の人に「自分はどんな人に見えるか」「仕事でどんなところが得意だと思うか」と聞いてみるのも一つの方法だと思います。

転職前にやっておけばよかったこと

今振り返って、転職前にやっておけばよかったと感じているのは、自分の行動や判断をもっと言語化する習慣をつけておくことです。私は「なんとなく」で行動したり判断したりすることが多いタイプでした。

面接では、自分がこれまで何をしてきたかを言葉にして相手に伝える必要があります。「なぜこの行動をしたのか」「なぜこの判断をしたのか」を普段から具体的に言語化しておけばよかったと感じています。この考え方は、エンジニアになった今でも重要だと感じています。

異業種転職を考えるなら、まず自分の行動を言語化してみる

信用金庫での経験がそのまま異業種で通用する必要はないと私は考えています。私の場合、担当する業務システムの知識など、転職後に身につけたものもありました。

一方で、これまで当たり前にやってきた行動の中にも、転職先に持っていけるものがあるかもしれません。まずは自分の行動や判断を書き出し、「なぜそうしたのか」を言葉にしてみることをおすすめします。

転職先の選び方について知りたい方は「信用金庫からの転職先はどう選ぶ?私がITエンジニアを選んだ理由と求人選びの基準」、IT業界への転職の全体像を知りたい方は「信用金庫からIT業界へ転職はできる?選択肢の整理と考え方」、エンジニアという職種への向き不向きを知りたい方は「信用金庫からエンジニアになれる?向き不向きと転職前にできる準備」もあわせて読んでみてください。