信用金庫を辞めるのはもったいない?私が考えた「今の安定」と「将来の安定」

執筆者:

カテゴリ:

私が辞める前に「もったいない」と感じていたもの

信用金庫を辞めることを考え始めたころ、私にも「もったいない」と感じるものがいくつかありました。

一つは給与面です。私が勤めていた信用金庫は、現在勤めている会社より給与面は良いと感じていますし、長く勤めた場合も、現在の会社より信用金庫の方が給与は高くなっていたのではないかと今でも思っています。これは私が勤めていた信用金庫と、現在の勤務先を比較したうえでの私自身の実感であり、信用金庫全体がIT企業より給与が高いという意味ではありません。

もう一つは、金融機関勤務に対して周囲が持っていた印象でした。金融機関に勤めているというだけで、周囲から真面目でしっかりしているという印象を持たれることがありました。友人からは、信用金庫に勤めていることで「あまり警戒しなくてよい人物という印象を持つ」という趣旨の話をされたこともあります。これは友人個人の主観であり、社会一般の評価として当てはまるとは限りません。

家族からの評価も、私にとっては大きなものでした。両親は以前から信用金庫にお世話になっていた経緯があり、私が信用金庫職員になったことを好意的に受け止めていました。退職すると伝えたとき、両親が少し残念そうな表情をしていたのを見て、私は少し悲しく感じました。経緯を説明すると納得してくれましたが、この反応を見て、自分が何かを手放そうとしているという実感を強く持ったのを覚えています。

実際に辞めてみて、これらはどうなったか

給与は、実際に下がりました。ただし、普通に生活できる程度の給与は得られているため、転職前に心配していたほど大きな問題にはなっていないというのが私の実感です。

周囲からの見られ方や家族からの評価についても、今の私は、真面目に普通に働いていれば、信用金庫勤務かIT会社勤務かということだけで社会人としての評価が大きく変わるとは感じていません。これはあくまで現在の私自身の実感であり、勤務先による評価の違いが一切ないと断定するものではありません。

「もったいない」の裏側で考えていたこと

一方で、当時の私には、信用金庫を続けることに対する別の心配もありました。上司から厳しい叱責を受けることが続いていたことと、信用金庫で渉外係をしていたころ、天候にかかわらず原付で営業活動をしていたことです。事故の危険への心配、暑さ・寒さ・雨などによる身体的な負担、外回りによる体力的な負担を、私は日々感じていました。

この経緯の詳しい背景は[信用金庫を辞めたいと感じたら|私が辞める前に考えた選択肢]で触れているため、ここでは繰り返しません。

当時の私が心配していたのは、「このまま負担が続けば、自分が働き続けられなくなる可能性があるのではないか」ということでした。上司から叱責されれば必ず休職するとか、原付営業を続ければ必ず働けなくなるといった因果関係を言いたいわけではありません。ただ、当時の私にとっては、その可能性を心配するだけの負担が実際にありました。今得ている安定だけを守ろうとして働き続けた結果、自分が働き続けられなくなり、安定そのものを失うことになれば、それこそが「もったいない」ことなのではないか。当時の私は、そう考えるようになりました。

これが、私がこの記事で一番伝えたい判断軸です。「今得ている安定」と「今の働き方を続けた先でも安定して働き続けられるか」の両方を比べてみることを、私は当時の自分に必要だったことだと感じています。

今の給与を辞める前にどう考えていたか

参考として、私が転職活動で給与についてどう考えていたかも紹介します。給与額の交渉は転職エージェントに一任し、「前職と同程度の給与を維持したい」という希望を伝えていました。未経験転職だったため、給与が下がること自体は覚悟していました。実際に選んだ会社では給与は少し下がりましたが、月10時間程度残業した場合には前職と同程度になるくらいの水準でした。

一方、別に内定を得た会社では、私の想定では年収が約100万円下がる可能性がありました。これは私が実際に検討した求人・内定先についての話であり、「未経験からのIT転職では年収が100万円下がる」ということを言いたいわけではありません。給与の条件は応募先によって大きく異なります。転職先の求人条件をどう見比べたかについては、[信用金庫からの転職先はどう選ぶ?私がITエンジニアを選んだ理由と求人選びの基準]で詳しく紹介しています。

辞めて得たと感じているもの

辞めて得たものの中で、私が特に大きいと感じているのは、リモートワークと内勤中心の働き方です。信用金庫で渉外をしていたころに感じていた、事故への不安や天候による身体的な負担は、今はほとんどありません。今の私が心配するのは、運動不足くらいだと感じています。

これは私個人の現在の働き方についての実感であり、「IT業界であればリモートワークができる」「信用金庫の渉外は必ず危険だ」ということを言いたいわけではありません。

今の自分が当時に戻っても、同じ判断をするか

今の私が当時に戻ったとしても、信用金庫を辞めるという判断をすると思います。理由は、当時の上司から受けていた厳しい叱責による精神的な負担と、原付営業による事故・身体面への不安です。私は、その状態を続けて精神的・身体的に働き続けることが難しくなり、結果としてキャリアが途切れるような状態になることの方を「もったいない」と考えています。

辞めなくてもよいかもしれないケース

一方で、私は、営業数字が取れていなくても仕事そのものが嫌ではないなら、すぐに辞める必要はない場合もあると考えています。担当している地域との相性が悪いだけで、支店や配属が変われば状況が変化する可能性も考えられるためです。

ただし、これはあくまで一つの仮定です。異動すれば必ずうまくいくとか、成績不振の原因が担当エリアにあるとまでは言えません。辞める前に検討できる可能性の一つとして、頭の片隅に置いておくとよいのではないかと思います。辞める前に考えられる他の選択肢については、[信用金庫を辞めたいと感じたら|私が辞める前に考えた選択肢]でも紹介しています。

周囲は「もったいない」と引き止めてきたか

私自身は、「信用金庫を辞めるなんてもったいない」と強く引き止められた経験は特にありません。親しい人たちは私の状況を理解しており、辞めることを自然な判断として受け止めてくれました。職場の同僚の多くも、私が辞めたいと考えていることをうすうす察していたようだと感じています。

これも私自身が経験した周囲の反応であり、誰もが同じように理解してもらえるとは限りません。

私がこの記事で伝えたいこと

ここまで紹介してきたのは、私が「もったいない」と感じていたものと、その裏側で抱えていた心配です。この記事で伝えたい判断軸は、次の一点に集約されます。

辞めることで何を失うかだけでなく、今の働き方を続けた先でも自分が安定して働き続けられるかまで、あわせて考えてみるということです。

この考え方が、読者の状況にそのまま当てはまるとは限りません。ただ、「今得ている安定」と「将来の安定」の両方を比べてみることは、判断材料の一つになると私は考えています。

辞めるか迷ったら、自分にとっての「安定」を整理する

「信用金庫を辞めるのはもったいない」と感じている場合、まずは次の2つを書き出してみることをおすすめします。

1. 今の仕事を辞めることで、具体的に何を失うか

2. 今の仕事を続けることで、将来何を失う可能性があるか

そのうえで、自分にとって何が「安定」なのかを考えてみてください。

辞める前に考えられる他の選択肢を知りたい方は

[信用金庫を辞めたいと感じたら|私が辞める前に考えた選択肢]

転職活動そのものの進め方を知りたい方は

[信用金庫から転職したい人へ|転職を考えたときに整理したこと]

転職先の条件をどう考えるか知りたい方は

[信用金庫からの転職先はどう選ぶ?私がITエンジニアを選んだ理由と求人選びの基準]

もあわせて読んでみてください。